特別拝観

旧前川邸 東の蔵 特別公開レポ:受付の場所・撮影の可否・拝観ルート・見どころやレビューも紹介(第48回京の夏の旅)

新撰組が屯所として利用していた旧前川邸。現在は個人宅なので内部は非公開ですが、第48回京の夏の旅(2023年)で初めて「東の蔵」が一般公開されています。
7月8日に旧前川邸の東の蔵の見学に行ってきたので、現地で撮った写真や当日の様子、東の蔵の見どころなどたっぷりご紹介します。

本記事はこんな方に向けて書いています。

  1. 見学に行くか行かないか迷っている方
  2. 当日の見学をより楽しむために予習したい方

では、目次から気になる項目を選んで読み進めてください。

【そもそもどんな文化財?】旧前川邸・東の蔵(第48回京の夏の旅)

ただの古い蔵じゃない!新撰組を有名にした事件の始まりの場所

  • 両替商だった前川家が1839年(天保10年)に建てた貴重品保管庫(金庫)
  • 1864年(元治元年・文久4年)に新撰組副長・土方歳三が王攘夷派の古高俊太郎ふるたかしゅんたろうを拷問した場所
    →この拷問での自白が、新選組の名を全国区にする「池田屋事件」とつながる
  • 1863年(文久3年)新撰組の内紛・芹沢鴨暗殺事件当日、八木家の様子をうかがった場所

旧前川邸の「東の蔵」は、江戸時代に壬生の郷士で掛屋(かけや)と呼ばれる両替商だった前川家の貴重品を保管する金庫として1839年(天保10年)に建てられた土蔵です。

約180年前の蔵という文化的価値もありますが、それよりなにより新選組を一躍有名にする池田谷事件につながる大きな出来事があった場所として文化的価値が高い場所です。

前川家の邸宅は、1863年(文久3年)から新選組の屯所として利用されます。

東の蔵1864年(元治元年・文久4年)に、新選組の土方歳三が尊王攘夷派の古高俊太郎ふるたかしゅんたろうを拷問し、京都の御所に火を放ち孝明天皇を長州へ連れ去る計画自白させました。(自白内容は諸説あり)

この拷問による自白が、新選組の名を全国区にした「池田屋事件」につながるので、歴史的・文化的価値が高い建物となります。

池田屋事件とは:1864年7月8日に旅籠・池田屋に潜伏していた長州藩・土佐藩などの尊王攘夷派志士を襲撃した事件

他にも、旧前川邸の向かいにある新選組の屯所で行われた芹沢鴨の暗殺当日、東の蔵の2階から八木邸の様子を監視していたという話もあります。

新選組・幕末ファンにとってはプライスレスな価値あるスポットですね。

Kico
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現在の所有者は、前川家の子孫ではなく田野家です。太平洋戦争末期に当時の所有者であった中井家より田野家が借り入れ、その後購入されています。田野家は製袋業を営まれていて、現在旧前川邸を住居兼工場として使われています。

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【特別公開の基本情報】旧前川邸・東の蔵(第48回京の夏の旅)

特別公開のレア度と過去の公開履歴

旧前川邸・東の蔵
レア度 [jinstar5 color=”#ffc32c” size=”16px”]
過去の公開履歴 ・2020年11月よみうり文化センターの講座
・2018年6月24日:まいまい京都のツアー

旧前川邸の東の蔵内部が見られる今回の特別公開はかなりレアです!
約3か月もの長期間、参加人数に制限もなく誰でも見学できるのは今回が初!

幕末ファンの中には、この日を待ち望んだ方も多いのではないでしょうか。

Kico
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過去に、よみうり文化センターやまいまい京都の企画で東の蔵内部も見学できたようですが、そちらは日程も人数も限られるものなので、今回の公開はレア度5としました。

旧前川邸は、1863年(文久3年)から約2年間、新選組の屯所(詰所・宿所)となり、現在は前川家の子孫ではなく、別の方(田野家)の個人宅になっています。個人宅なので建物内部は非公開で、土日祝日(10:00-17:00)に勝手口の土間部分で新選組のグッズ販売を行うのみです。

公開期間・拝観時間・拝観料

旧前川邸・東の蔵特別公開(第48回京の夏の旅)
公開期間 2023年7月8日(土)~9月30日(土)
拝観時間 10:00~16:30(16:00受付終了)
拝観料 大人800円/小学生400円

約3か月もの長期間公開されます。

公開期間や時間は、変更になることもありますので、お出かけ前に公式情報(休止・変更情報)もご確認ください。(公式情報はこちら

公開範囲と撮影の可否

公開範囲

旧前川邸・東の蔵特別公開(第48回京の夏の旅)
東の蔵 ・内部(1階・2階)と外観
・1839年(天保10年)に建てられた土蔵で貴重品保管庫(金庫)
※古高俊太郎を拷問のために吊るした滑車(当時のまま)も見られる
※蔵の内部に展示パネルあり
西の蔵 ・外観のみ
・1837年(天保8年)に建てられた土蔵で味噌の貯蔵庫
格子窓の刀傷 刀傷が残る長屋門の格子
※取り外して東の蔵の入り口横に展示

今回のメインである「東の蔵(金庫)」は内部の1階と2階が見学できます。
2階にあがると土方歳三が、古高俊太郎を拷問のために吊るした滑車(当時のまま)も間近で見られます。

東の蔵の入り口横には、かつて道路に面した長屋門の格子窓(刀傷つき)が展示されています。

また、東の蔵のすぐ横にある「西の蔵」(味噌庫)も外観を少し見学できます。

Kico
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後ほど実際に拝観した際の写真と共に紹介しますね。

撮影の可否

旧前川邸・東の蔵特別公開(第48回京の夏の旅)
東の蔵 内部:撮影NG
外観:撮影OK
西の蔵 外観:撮影OK
※内部は非公開
刀傷 撮影OK

東の蔵の内部は撮影NGです。
そのほかの東の蔵外観、西の蔵の外観、長屋門の格子についた刀傷は撮影OKです。

Kico
Kico
個人宅なので全面撮影禁止かと思っていましたが、ありがたいことに蔵の内部以外は撮影可能でした。

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【拝観受付の場所と配布物】旧前川邸・東の蔵(第48回京の夏の旅)

東の蔵・拝観受付の場所(京の夏の旅)

第48回京の夏の旅「旧前川邸・東の蔵」特別公開の拝観受付は、土日祝日のグッズ販売の入口とは異なります。

ガレージ(駐車場)側に回ると京の夏の旅専用の拝観受付があります。

グッズ販売時の正面入口 入口にある案内板

京の夏の旅専用の拝観受付までのルート

旧前川邸の正面入り口に置かれた「京の夏の旅の受付案内板」にある道のりを写真と共に紹介しておきますね。

旧前川邸正面入口から東の蔵・京の夏の旅専用拝観受付までのルート
・旧前川邸の正面入口を正面に見て、回れ右します(右手側に向き直る)
・そのまま直進し左に曲がる
(目の前には和菓子屋さんが見えます)
・しばらくそのまま直進。
※画像の右奥に見えるクリーム色の建物は、新選組の屯所跡「八木邸」を運営する和菓子屋さんです。
・八木邸の誠の赤い旗の前が、旧前川邸のガレージ(駐車場)なのでそこに入る
・近づくと「京の夏の旅の看板」がある
・ガレージ(駐車場)の左奥が東の蔵拝観受付

配布物:チケットと説明書

拝観料を支払うと、チケットと説明書を渡されます。
A5サイズの小さな解説書ですが、旧前川邸や東西の蔵について詳しく書かれています。

Kico
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今回の京の夏の旅のチケットは新選組のダンダラ羽織の模様で夏らしいですね。旧前川邸東の蔵・輪違屋・新徳寺ではA5サイズ(A4の半分)の解説書が配布されました。

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【拝観ルートと見どころ(写真あり)】旧前川邸・東の蔵(第48回京の夏の旅)

2023年7月8日に見学した際の拝観ルートに沿って見どころを紹介していきます。
当日まで楽しみを取っておきたい方は読み飛ばしてくださいね。

※拝観者の人数や担当スタッフさんによって変更になる可能性があります

順路1:西の蔵の外観見学

  • 西の蔵:1837年(天保8年)竣工・味噌蔵として使われていた
  • 扉上の白いマーク:「三重丸刻さんじゅうまるのこく」と呼ばれ、掛屋かけや(両替商)を営む前川家が御所に出入りするための門鑑もんかんの印

拝観受付を済ませて、塀にある小さな入口を入ってすぐ右側に西の蔵があります。

西の蔵の内部は非公開ですが、扉部分の見学できます。

扉の上にある白い丸は、掛屋かけや(両替商)を営む前川家が御所に出入りするたの印(門鑑)で、3つの丸が重なった「三重丸刻さんじゅうまるのこく」です。

門鑑もんかんとは:門の出入りの許可証

西の蔵を見たら、東の蔵へ向かいます。

東の蔵へ向かう通路にはテントがあるので雨の日も安心です。

順路2:東の蔵1階見学

  • 東の蔵:1839年(天保10年)竣工、貴重品保管庫(金庫)として使われていた
  • 扉上の白いマーク:「三重丸みえまるこく」と呼ばれ、掛屋かけや(両替商)を営む前川家が御所に出入りするための門鑑もんかんの印

いよいよメインの東の蔵です。
蔵の前で最初に扉や門鑑、通気口の解説がりました。
このあとひとつひとつ見どころとしてお伝えしますね。

東の蔵1階-見どころ1:四重扉

旧前川邸の東の蔵は、貴重品保管庫(金庫)なので、扉が四重です。
そのため手前の入り口から中に入るまでの幅が1m以上!

扉の上の白い三重丸は西の蔵と同じく、掛屋かけや(両替商)を営む前川家が御所に出入りするたの印(門鑑)で、3つの丸が重なった「三重丸刻さんじゅうまるのこく」です。

東の蔵1階-みどころ2:通気口と防火用の蓋

こちらが通気口、東の蔵内部の空気が外側に出てきます。
火事の際は、通気口の上にある黒い蓋をかぶせるとのことでした。

東の蔵1階-見どころ3:箱階段

東の蔵に入った左手には箱階段があります。(上の画像・緑の服の男性の左側)
内部は写真撮影NGなので外観に写り込んだ写真でご紹介。

京都の古い建物には必ずと言っていいほど階段下を収納として有効活用した箱階段が見られます。

ちなみに、箱階段についている手すりは新しくつけられたものです。

東の蔵1階-見どころ4:地中深く掘られた保管庫

東の蔵の中に入ると、竹の結界で囲われた場所が2か所あります。
結界の内側は、千両箱などを保管した地下保管庫。

Kico
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時代劇だと千両箱がいとも簡単に盗み出されていますが、前川邸の東の蔵のような作りが主流なら、千両箱なんてそうそう盗み出させないのでは?と思わせる深さです。

東の蔵の内部は撮影NGなので、京の夏の旅の内覧会に参加した方のSNSをシェアするので中の様子をご確認ください。


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順路3:東の蔵2階見学

東の蔵2階:古高俊太郎を拷問のためにつるした滑車

東の蔵2階に上がると、新撰組副長・土方歳三が尊王攘夷派の古高俊太郎を拷問する際に吊るした滑車が当時のまま残っています。

Kico
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千両箱を吊り上げる滑車なので、人をつるすことも可能なのだとは思いますが、かなり華奢な見た目でした。

東の蔵2階:八木家の様子をうかがった窓

旧前川邸の向かいには同じく新撰組の屯所になった八木邸があります。
八木邸で芹沢鴨を暗殺する日、家の様子を除いた窓も今回見られます。

新撰組の主要メンバーものぞいていた窓から同じように八木邸を見ることができます。

京の夏の旅の内覧会に参加した方のSNSをシェアするので中の様子をご確認ください。

Kico
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東の蔵2階には、扇をしまう棚のようなものもおかれていました。特にガイドさんの解説はないのですが、何か気になったので聞いてみたら教えていただけました。

順路4:刀傷の見学

東の蔵の内部を見た後は、東の蔵の外壁に展示されている長屋門の格子窓についた刀傷を見学。

Kico
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八木邸宅や角屋に残る刀傷とはまた違って、えぐる様な傷でした。

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【拝観レビュー】旧前川邸・東の蔵(第48回京の夏の旅)

行ってよかったこと

個人的に行ってよかったと思う2点をシェアしますね。

ひとつは、両替商の金庫の構造のイメージが覆されたこと。
蔵の地下に千両箱をしまう場所をつくっているイメージはもっていなかったので、実際に見てすごく印象に残りました。

もうひとつは、新撰組の主要メンバーものぞいたであろう2階の窓から向いの八木邸を見れたことです。

残念だったこと

個人的には特に残念ということはなしです。

強いて言うなら、見学当日の案内ガイドさんの知識量にバラつきがあることくらいですね。
ただ、これはどこの特別拝観でも起切ることです。

800円の価値はある?

新撰組や幕末ファンであれば800円は安すぎると感じて、仕事を休んででも行く価値あり!と感じると思います。

個人住宅なので普段は入れませんし、長期間一般公開されるのも今回が初ですしね。

ただ、新撰組や幕末ファンでないのであれば、公開されるエリアの面積で考えるとちょっとお高いかな?と感じるかもしれません。

ただ、レア度と文化財保存の一助と考えればお安いです。

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【オススメの拝観日時】旧前川邸・東の蔵(第48回京の夏の旅)

新撰組ファンでグッズもや御朱印も手に入れたいならこの日!

新撰組ファンならグッズや御朱印も欲しいですよね。
であれば、旧前川邸がグッズ販売をしている土日祝日に東の蔵の拝観に行くのがおすすめです。

旧前川邸グッズ販売日 ・土日祝日
・10:00-17:00
東の蔵公開日 ・2023年7月8日(土)~9月30日(土)
・10:00-16:30(16:00受付終了)

ちなみに、グッズ販売されている場所は旧前川邸の勝手口で、新撰組が雨の日にけいこをしたといわれる場所です。

また、旧前川邸の隣にある、新選組屯所跡・八木邸(京菓子店「京都鶴屋鶴寿庵」)と和菓子屋の「金つばの幸福堂」でも新選組グッズが販売されているので覗いてみるのがおすすめです!