「かさぎ屋」は清水寺に続く二寧坂(ねんざか)の石段横にある老舗の甘味処。
大正3年(1914年)創業で、美人画で有名な画家で詩人の竹下夢二も愛したお店。
3時間以上かまどで炊き上あげた最高級のあずき「丹波大納言」を使った「おはぎ」や「おぜんざい」は絶品!ぺろりと一瞬で食べられてしまいます。
店内に何気なく飾られた竹久夢二直筆の水墨画も必見!
大正時代と変わらぬ味と雰囲気が楽しめる「かさぎ屋」さんを紹介します。
かさぎ屋はこんな方にオススメ
- 竹久夢二ファン
- 大のあずき好き
- 老舗の甘味処好き
「かさぎ屋」概要 | |
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営業時間・定休日 | ・営業時間:11:00~18:00(ラストオーダー17:40) ・定休日:火曜日(祝日以外) |
TEL・住所 | ・TEL:0755619562 ・住所:〒605-0826 京都府京都市東山区桝屋町349 |
支払い・席数 | ・支払い:現金のみ(カード・電子マネー不可) ・席数:20席(全席禁煙) |
近隣の観光スポット | ・清水寺、 一念坂・二寧坂・産寧坂 |
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外観と店内(写真あり)【かさぎ屋】
外観
こちらが「かさぎ屋」さんの入り口。
暖簾をくぐり、趣ある引戸を開けて中へ入ります。
「かさぎ屋」さんの外観を引きで見るとこんな感じです↓。
16段しかない二寧坂の階段のすぐ横にあり、とても趣ある建物です。
明治からある建物だとか。
夏場は白い暖簾と氷の旗が掲げられます。
店内の様子
紹介している写真は調整しているので明るいですが、「かさぎ屋」さんの店内はかなり薄暗い趣ある空間です。
天井や壁には「千社札」と呼ばれる縦書きに名前が書かれた紙(シール)が貼られています。
千社札とは:江戸時代、千社参り(たくさんの神社仏閣を詣でる事)の際に参拝した証として名前を書いた木札(千社札)を収めたのが始まり。やがて粋な洒落心を持つ庶民の遊びとしてブームに。現在は京都の舞妓さんや宝塚ジェンヌなどが色紙代わりに持ち歩いている。
竹久夢二直筆の水墨画は、入り口を背にして右側の壁に飾られています。
上の画像の左の額が夢二の水墨画。
干支にちなんだ嵯峨面も飾られています。
「かさぎ屋」さんの店内のいたるところに京都を感じるオブジェがありますね。
嵯峨面とは:京都・嵯峨野に伝わる民芸品。京の三大念仏狂言の一つ「嵯峨大念仏狂言」で使う面を模した張り子の面(張り子とは粘土や木などで作った型に紙などを張り付けて物を形成する造形技法のこと)。江戸時代中期に農民たちの副業として作られ、厄除けのお土産として寺の門前等で売られていた。嵯峨面は昭和初期の戦時中に完全に途絶えたが日本画家の藤原孚石(初代)が復興させ、2024年現在3代目が制作を受け継いでいる。
お店の一番奥には、七輪のススで顔がまっくろなお多福さんの置物があります。
100年以上この店のお客様を見てきた最古参ですね。
お多福さんとは:「お福」とも「おかめ」とも呼ばれる庶民的な日本女性の代名詞。顔の表情に豊年の幸を感じ、下半身から来る安定感が安らぎを与え、商売繁盛や芸事向上などのお願いに効果があるとされる。
メニュー一覧【かさぎ屋】
定番メニュー
(2023年7月撮影)
「かさぎ屋」定番メニュー ※料金は2023年8月現在 | |
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三色萩乃餅 (三色おはぎ) |
・小豆、こしあん、白あんの3種のおはぎセット ※夏は小豆、こしあん、きな粉セットに変更 ・750円(税込) |
うす茶(菓子付き) | ・小おはぎ2個とお抹茶セット ・800円(税込) ※小おはぎは、その時期の三色おはぎの中から2個選択 |
京都ぜんざい (田舎しるこ) |
・粒あんの汁物 ・小ぶりのお餅2個入り ・箸休めの漬物つき ・750円(税込) |
亀山 (汁なし粒あんぜんざい) |
・お餅の上に粒あんをたっぷりのせた汁なしぜんざい ・箸休めの漬物つき ・900円(税込) |
御膳しるこ (東京御膳志る古・東京しるこ) |
・こしあんで作った汁物 ・小ぶりのお餅が2つ ・750円(税込) |
いそ巻 (のり巻き焼きもち) |
・醤油をつけて七輪だ焼いたお餅に海苔をまいた磯辺焼き3個 ・750円(税込) |
・お抹茶付(+350円)
※すべてのメニューに煎茶がつく
かつては「小倉しるこ(小倉志る古)」という名前のこしあんで作った汁物に少量のあずきと小さなお餅2つが入ったものがありましたがメニューから消えていました。
夏季限定メニュー
(2023年8月撮影)
「かさぎ屋」夏季限定メニュー ※料金は2023年8月現在 | |
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特製 志る古セーキ | ・こしあんのおしるこをシャーベット状にした「かさぎ屋」の名物 ・白玉とシャーベット状のおしるこを柄が長いスプーンでいただく ・750円(税込) |
氷みぞれ | ・”白みつ”のかき氷 ・650円(税込) |
氷白玉 (白玉5つ) |
・白玉が5つ入った”白みつ”のかき氷 ・700円(税込) |
氷志る古 (こしあん・白玉2つ) |
・こしあんと白玉2つが入った”白みつ”のかき氷 ・750(税込) |
氷金時 (粒あん・白玉2つ) |
・粒あんと白玉2つが入った”白みつ”のかき氷 ・750(税込) |
氷宇治 | ・”抹茶”のかき氷 ・750(税込) |
氷宇治白玉 (白玉5つ) |
・白玉が5つ入った”抹茶”のかき氷 ・800(税込) |
氷宇治志る古 (こしあん・白玉2つ) |
・こしあんと白玉2つが入った”抹茶”のかき氷 ・850(税込) |
氷宇治金時 (粒あん・白玉2つ) |
・粒あんと白玉2つが入った”抹茶”のかき氷 ・850(税込) |
・練乳トッピング(+100円)
・白玉トッピング(+50円)
・お抹茶付(+350円)
※すべてのメニューに煎茶がつく
テーブルに着くと出される「かさぎ屋」の煎茶
テーブルに着くと特注の清水焼で作られたオリジナル土瓶とお猪口のセットで煎茶をだしていただけます。お茶の葉は初代から変わらず宇治から取りよせていると何かの記事に書いてありました。ちなみに年間通して熱いお茶ですがこれがまたおいしい。
ちなみに、お店で出される器は三年坂の陶器屋で注文しているそうですよ。
名物・人気メニュー詳細(写真付き)【かさぎ屋】
三色萩乃餅(三色おはぎ)
粒あん・こしあん・白あん | 粒あん・こしあん・きな粉 ※夏場のみ |
- 小豆、こしあん、白あんの3種のおはぎセット
※夏は小豆、こしあん、きな粉セットに変更 - 750円(税込)
三色は、粒あん・こしあん・白あん(夏はきな粉)の3つの味の盛り合わせ。
粒あんの小豆はふっくらツヤツヤで、こしあんと白あんは丁寧に裏ごしされ、きめが細やかで舌触りがとても良いです。
小豆の美しい艶が本当に素晴らしいので実際にお店で目にしていただきたいです!
中のもち米はつぶさないタイプで、お米の粒の形が分かります。
↓ピンボケですがこんな感じです。
うす茶(菓子付き)
「おはぎ3つはさすがにきつい!」という方は、お抹茶と小ぶりのおはぎ2種類セットの「うす茶」を注文するのがオススメ!おはぎは、3種のうち好きなものを選べたはずです。
- 小おはぎ2個とお抹茶セット
- 800円(税込)
京都ぜんざい(汁ありぜんざい)
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- 粒あんの汁物(小ぶりのお餅2個入り)
- 箸休めの漬物つき
- 750円(税込)
亀山(汁なしぜんざい)
- お餅の上に粒あんをたっぷりのせた汁なしぜんざい
- 箸休めの漬物つき
- 900円(税込)
「亀山」は、かまどで3時間たきあげた高級あずき「大納言小豆」がこれでもか!というほど楽しめる逸品。
直径7cmくらいの小ぶりのかわいいお椀に入ってきます。
蓋を開けると湯気がブワっと広がり、小豆のいい香りがします。
汁なしぜんざいではありますが、多少はお汁も入ってます。
小豆の底には、七輪で焼かれたお餅が1個入っています。
お餅を引っ張り出すとフワッと香ばしい香りがします。
いそ巻(のり巻き焼きもち)
- 醤油をつけて七輪だ焼いたお餅に海苔をまいた磯辺焼き3個
- 750円(税込)
七輪で焼いた香ばしいお餅に醤油をくぐらせて上質な海苔を巻いた磯辺焼き。
特製志る古セーキ(夏季限定)
- こしあんのおしるこをシャーベット状にした「かさぎ屋」の名物
- 白玉とシャーベット状のおしるこを柄が長いスプーンでいただく
- 750円(税込)
美人画で有名な画家で詩人の武井小由女児ががよく飲んでいたのがこちらの「特製志る古セーキ」(夏季限定)。
夢二が通っていた当時に流行っていた「ミルクセーキ」をモチーフにおしるこをシャーベット状にしたかさぎ屋初代考案の名物。柄が長いスプーンで頂きます。
かき氷(夏季限定)
夏季限定で提供されるかき氷のシロップは「白みつ」と「抹茶」の2種類。
シンプルな「みつ」だけのかき氷以外に、あんこや白玉でバリエーションがあります。
(バリエーションはこちらで紹介済みです)
氷はシャリシャリで粒状。シロップは「かさぎ屋」オリジナル。
氷宇治志る古(こしあん・白玉2つ)
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- こしあんと白玉2つが入った”抹茶”のかき氷
- 850(税込)
氷金時(粒あん・白玉2つ)
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- 粒あんと白玉2つが入った”白みつ”のかき氷
- 750(税込)
各テーブル席の詳細(写真付き)【かさぎ屋】
「かさぎ屋」さんの店内にはテーブル席が4つあり、椅子は竹製で薄い座布団がひかれています。ちょっとがたがたします。
4つあるテーブル席を写真付きで紹介していきますね。
それぞれの席のオススメポイントも書いてますが、込み合っているときは空いた席にササっと座る感じなので席は選べません。
【1】入口を背にして左側すぐの席
- 壁に竹下夢二の水墨画が飾られている席
- 多くて7~8名が掛け、4~5名だとゆったり
【2】入口を背にして左側奥の席(厨房の前)
- 厨房の前の席で小豆を炊くかまどが見える
- 席の奥は七輪でお餅を焼いたりお湯を沸かす場所
- 多くて6~7名が掛け、4名だとゆったり
なお、2の席から見える厨房のかまどはこちら↓です。
【3】入口を背にして右側すぐの席
- 店内で一番光が入る席
- 多くて3~4名が掛け、2名だとゆったり
【4】入口を背にして右側奥の席
- 神棚の下の席
- 多くて4~5名が掛け、2~3名だとゆったり
前述しましたが、混みあっているときは席は選べないと思ってください。
レビュー【かさぎ屋】
総合満足度
「かさぎ屋」レビュー | |
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総合満足度 | 4.1 |
-味の満足度 | 5 |
-価格の満足度 | 5 |
-接客の満足度 | 2.5 |
本当は5つ星!と言いたいところなのですが、京都観光をはじめて楽しむ方からすると接客態度はちょっとそっけない印象をうけるよね。。と思ったので、接客の満足度が足をひっぱり総合評価は星4.1です。
味の満足度
味の満足度については有無をいわずに星5つです!
「かさぎ屋」さんのあずきのおいしさは、私の人生でNO1です!
おいしすぎて毎回一瞬で食べ終わってしまいます。
「かさぎ屋」さんは、創業当時から素材にこだわり、小豆は最高級の「丹波大納言」。
お砂糖も一般的なものは使っていないそうです。
すべての仕入先が初代から変わらないそうで、これもすごいですよね。
価格の満足度
価格の満足度も有無をいわずに星5つです!
量に対して「高い!」いう方もいらっしゃいますが、京都のちょっとした甘味処でおぜんざいを頼むと600~900円くらいしますし、デパートで行列ができる仙太郎のおはぎも1個 216円(税込)です。
「かさぎ屋」さんは、最高級のあづきを使うだけでなく、3時間以上かまどで炊いたり、お餅も七輪で焼く手間の掛けよう。
むしろ今の金額で提供していただけるのが奇跡です。
接客の満足度
接客の満足度はちょっと厳しめの星2.5です。
いろんな京都のお店と比べると星3とも言いずらいところではあります。
初めて訪れる人にはちょっと怖い印象もあるかもしれません。
もしかしたら、常連さんや身内の方には違ったり、混雑具合にもよるかもですが観光客が旅先で求めるお店の方とのハートフルなコミュニケーションはないですね。
先日お客さんがお会計の時に「おいしかったです!来てよかったです!」とルンルンでお店の方(男性)に伝えてたのですが、「あ、ありがとうございます」で会話が終わっていました。
淡々とメニューやお茶がだされ、淡々とお会計まで進みます。
訪問時の注意事項【かさぎ屋】
- 1人1品の注文が必須!
- 注文を受けてからつくるのでゆっくり待てるスケジュールを!
- 小さな店舗なので回転数をあげるために食べたらすぐ出る心配りを!
- 小さな店舗なので大きな荷物は持ちこまない!
自分がお店の経営者だとしたら当たり前のことばかりですが、観光客になってしまうと自分都合で忘れてしまう人も多くいますよね。
清水寺までの長い道のりを歩いた途中の休憩や清水寺をぐるっと一周した後の休憩なら食べ終わってもゆくりしたいかもしれませんが、食べ終わったらさくっと出て次の方にゆずってあげるのがよいですね。
交通アクセス【かさぎ屋】
「かさぎ屋」交通アクセス | |
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最寄り駅(鉄道) | ・京阪電車「祇園四条」駅下車、徒歩約20分 (約1.2km~1.3km) |
最寄りバス停 | ・京都市営バス(市バス)「清水道」下車、徒歩約10分 (約450m~550m) |
住所 | 〒605-0826 京都府京都市東山区桝屋町349 |
京阪電車「祇園四条」からのGoogleMap
GoogleMapでは約17~18分となっていますが、坂道をあがっていくのと、観光客がすごく多い中を歩くので人によっては20~25分くらいかかるかもです。
市バス「清水道」からのGoogleMap
GoogleMapでは約6~8分となっていますが、坂道をあがっていくのと、観光客がすごく多い中を歩くので、人によっては10~15分くらいかかるかもです。
お店の歴史【かさぎ屋】
お店に行くか行かないかを検討するときに、お店の歴史まで知りたい!という方もいますよね。(私はそのタイプ)
ということで、お店の始まりを紹介してくださってるブログを見つけたのでシェアします。
1914(大正3年)年創業の老舗甘味処「かさぎ屋」。現在は4代目が切り盛りする当店。 初代は京都府相楽郡にある「笠置町」から現在の地に住居を構えた。清水寺と祇園に挟まれた二年坂で人の流れを眺めていたとき、食事処を提供しようとしたことが「かさぎ屋」のはじまりだったという。
当時としては珍しい夜12時までの営業で、粋な人達が多く集うお店であった。戦争中の物資不足も影響して、限られた時間で甘味だけを扱う営業形態に変わったことがきっかけで現在の姿に。
(引用元:ittotoブログ)
かさぎ屋と竹久夢二の関係とは?
竹久夢二が「かさぎ屋」に通った理由
- 「かさぎ屋」の隣に竹久夢二が下宿していた(大正5年)
- 竹久夢二は大の甘党だった
- 初代店主と夢二は気が合った
「かさぎ屋」の隣に竹久夢二が下宿していたことがあり、夢二が甘党だったことから「かさぎ屋」さんを訪れたそうです。
ちなみに、現在は夢二が下宿した旅館はなく「かさぎ屋」のお隣は「港屋」という屋号の夢二ショップです。の建物の前には、「竹久夢二寓居の跡」と書かれた小さな石碑と駒札が立てられています。
夢二が愛したメニューはこちら!
甘党だった夢二が好んでたべていたのが「特製志る古セーキ(税込750円)」です。
夢二が通っていた当時に流行っていたミルクセーキをモチーフにおしるこをシャーベット状にしたかさぎ屋の名物。
グラスに入ったおしるこをスプーンでいただきます。
店内に飾られた夢二直筆の色紙に隠された意外な理由
(左の色紙が竹下夢二直筆)
「かさぎ屋」さんに、何気なく飾られている直筆の水墨画の色紙にはこんなエピソードがあるそうです。
初代店主が当時、おはぎのお持ち帰り用の包み紙に絵を描いてもらう約束を夢二としていたそうです。ですが、急遽夢二は京都を離れることになり、代わりに色紙を置いていったとのこと。
こちらの情報は、2023年8月に放送された「あなたの知らない京都旅」の中でお店の方が説明されていたものです。
基本情報まとめ【かさぎ屋】
「かさぎ屋」概要 | |
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営業時間・定休日 | ・営業時間:11:00~18:00(ラストオーダー17:40) ・定休日:火曜日(祝日以外) |
TEL・住所 | ・TEL:0755619562 ・住所:〒605-0826 京都府京都市東山区桝屋町349 |
公式サイト | ・なし |
支払い・席数 | ・支払い:現金のみ(カード・電子マネー不可) ・席数:20席(全席禁煙) |
交通アクセス | ・京阪電車「祇園四条」駅下車、徒歩約20分 ・京都市営バス(市バス)「清水道」下車、徒歩約10分 |
駐車場 | なし |
近隣の観光スポット | ・清水寺、 一念坂・二寧坂・産寧坂 |
お店の情報は記事執筆時点の情報です。お出かけ前に最新情報をお確かめください。